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Proteolethargy:タンパク質制御の新たな病的意義

Proteolethargy: A new pathogenic mechanism in chronic diseases
Alessandra DallʼAgnese,Ming M Zheng,Shannon Moreno,鈴木 洋
Alessandra DallʼAgnese1)/Ming M. Zheng1)/Shannon Moreno1)/Hiroshi I. Suzuki2):マサチューセッツ工科大学ホワイトヘッド研究所1)/名古屋大学大学院医学系研究科分子腫瘍学2)
10.18958/7783-00001-0006110-00

神経変性疾患では,共通する疾患メカニズムとして,相分離の可逆性が低下し,不可逆なタンパク質の異常凝集体が蓄積する.同様に,老化現象も凝集体の老化という視点からとらえることができる.最近,慢性疾患におけるタンパク質の調節異常の新たな側面として,タンパク質の運動性の低下(Proteolethargy)が提案されている.Proteolethargyは,糖尿病などの慢性疾患でみられるシグナル伝達機構の慢性的な,かつ,高レベルの活性化が,活性酸素種(ROS)の上昇を引き起こし,システイン残基を介したタンパク質の架橋を通してタンパク質の運動性を低下させ,細胞応答に異常をもたらすというものである.本稿では,Proteolethargyの概要を紹介し,あわせて,細胞の粘弾性(viscoelasticity)とがんの関係についても考察する.

Proteolethargy,タンパク質運動性,シグナル伝達,活性酸素種,システイン

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