実験医学:発がん 遺伝子変異+αの真実に迫る〜タール癌から1世紀を超え、いま紐解かれる複雑性
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実験医学 2016年9月号 Vol.34 No.14

発がん 遺伝子変異+αの真実に迫る

タール癌から1世紀を超え、いま紐解かれる複雑性

  • 大島正伸/企画
  • 定価 2,000円+税
  • 2016年08月発行
  • B5判
  • 137ページ
  • ISBN 978-4-7581-0155-4
  • 販売状況: 注文可能(在庫あり)
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発がん研究の歴史と最新理解が詰まった総力特集!微小環境や不均一性、エピジェネティクス変異など,遺伝子変異と生体の発がんを抑えようとする機構との狭間で生じる複雑な発がんメカニズムを紐解きます.

《企画者のことば》

山極・市川によりはじめて人工がんの発生に成功したのは1915年のことであり,がんは外的な刺激によって発生することが明らかになった.それから100年の間に,がんは「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」の変異の蓄積によって発生するという概念が確立し,とくに近年のゲノム研究の進展により,発がんに関わるいわゆるドライバー変異がほとんど解明されるに至った.しかし,最近の研究から,発がんには遺伝子変異+αが必要であり,染色体構築の異常や炎症などの微小環境からの影響による腫瘍組織内の不均一性,さらにはエピジェネティック変化との相互作用などの重要性が,新しい研究手法の技術革新によってしだいに紐解かれてきた.

目次

特集

発がん 遺伝子変異+αの真実に迫る
タール癌から1世紀を超え、いま紐解かれる複雑性
企画/大島正伸
遺伝子変異に起因する発がんの複雑性と多様性【大島正伸】
山極・市川によりはじめて人工がんの発生に成功したのは1915年のことであり,がんは外的な刺激によって発生することが明らかになった.それから100年の間に,がんは「がん遺伝子」と「がん抑制遺伝子」の変異の蓄積によって発生するという概念が確立し,とくに近年のゲノム研究の進展により,発がんに関わるいわゆるドライバー変異がほとんど解明されるに至った.しかし,最近の研究から,発がんには遺伝子変異+αが必要であり,染色体構築の異常や炎症などの微小環境からの影響による腫瘍組織内の不均一性,さらにはエピジェネティック変化との相互作用などの重要性が,新しい研究手法の技術革新によってしだいに紐解かれてきた.
大規模ゲノムデータとDNA付加体解析から明らかにされる発がん要因【中釜 斉,戸塚ゆ加里】
がんの発生には環境要因が大きくかかわることがわかっているものの,その本体はいまだよくわかっていない.従来の研究では,新規発がん物質の同定が主流であり,見出された発がん物質のヒトがん発症への関与を明らかにすることは困難であった.一方で,最近,次世代シークエンサーを用いたヒト臨床検体のグローバルな変異解析がさかんに行われており,この情報をヒト発がん要因の探索に応用することが期待されている.すなわち,ヒト腫瘍に蓄積した変異のもととなるDNA付加体を探索し,発がん要因へと辿り着くといった,これまでとは逆向きの研究手法である.このような手法が確立されれば,環境要因とヒト発がんとの関係を明らかにでき,発がん研究の進展に大きく貢献することが期待される.
オルガノイド培養における大腸発がん過程の再構成【利光孝太,佐藤俊朗】
ヒト大腸上皮は多段階の遺伝子変異により発がんすると考えられてきたが,そのprospectiveな検証は困難であった.われわれは,ヒト大腸上皮オルガノイドに大腸がんで高頻度に認められる複数の遺伝子変異を導入し,発がん過程の再構成を試みた.遺伝子改変オルガノイドは幹細胞ニッチ非依存的な増殖が可能となり腫瘍形成能を獲得したが,転移や浸潤といった悪性腫瘍の特性は得られなかった.一方,前がん病変である大腸腺腫に遺伝子変異導入を行ったところ,ゲノム不安定性と相関して転移・浸潤能を獲得した.これらの結果から,大腸発がんには遺伝子変異だけでは不十分であり,他のゲノム・エピゲノム異常なども必要であることが示唆された.
発がん・悪性化を制御するゲノム変異【油谷浩幸】
ゲノム変異,DNAメチル化,トランスクリプトームを併せた包括的ながんゲノム解析により発がん,悪性化のメカニズムが解明されつつある.本稿では構造異常,クローン進化,エピジェネティクス異常について最近の知見を概説した.
転写因子による上皮間葉転換の制御とがん幹細胞【有馬好美,佐藤 亮】
がん組織は,遺伝子変異に基づく多様性(genetic diversity)と分化度の違いに基づく多様性(functional diversity)によって性質の異なるがん細胞の集団から構成される不均一な組織である.このような腫瘍内不均一性はがんの治療抵抗性に大きく寄与していると考えられ,同一の遺伝子変異を有しながらも分化度や周辺環境の違いによって異なる性質を示すようになったがん細胞集団は,きわめて治療困難である.腫瘍内不均一性を生じるメカニズムについてはさまざまな観点から研究されており,特にがん幹細胞は分化度の異なるがん組織を構築することから重要な要因と考えられている.また,一部のがん細胞にEMTが誘導された腫瘍組織は不均一であるといえる.治療困難な不均一性がんに対する治療の標的として,がん幹細胞およびEMTを誘導する転写因子(EMT-TFs)が注目されている.
発がん微小環境の生体顕微鏡イメージング【松田道行】
がん細胞が均一な細胞集団でないことは遺伝子レベルでも明らかだが,場所あるいは時間による多様性も無視できない.さまざまなバイオセンサーを発現する細胞を使ったライブイメージング研究により,がん細胞集団の中心部にいる細胞と,辺縁部で間質と密に接している細胞とではさまざまな性質が異なることがわかってきた.例えば悪性黒色腫細胞は間質細胞と相互作用することによりBRAF阻害剤に対する抵抗性を獲得することが明らかにされ,新たな治療戦略も提唱されるに至っている.本稿ではバイオセンサーを使ったがん研究の現状を紹介する.
遺伝子変異と微小環境の相互作用による発がん【大島浩子,越前佳奈恵,大島正伸】
がんゲノム研究の成果により,多くのがんの発生や悪性化に関与するドライバー遺伝子が明らかにされ,さらに大腸がんにおいては,その発生や悪性化に至るまでの遺伝子変異の蓄積が解明されつつある.一方で,腫瘍間質にはがん細胞に反応し,骨髄由来細胞などが浸潤することにより微小環境が形成され,そこで活性化する炎症シグナルや自然免疫反応が,がん細胞の生存や増殖に関与している.さらに,がん細胞の遺伝子変異の蓄積は,微小環境形成に影響を及ぼす可能性が指摘され,これらの相互作用による発がん誘導機構がしだいに明らかになってきた.
発がんにおける細胞老化と腸内細菌の影響【河本新平,渡邉すぎ子,原 英二】
われわれの身体を構成する細胞は,異常を感知すると増殖を停止する安全装置を備えている.細胞老化はこの安全装置の1つであり,異常細胞の増殖を防ぐ重要ながん抑制機構として生体の恒常性維持に寄与していると長い間考えられてきた.しかし,近年,細胞老化を起こした細胞は単に増殖を停止しているだけではなく,炎症性サイトカイン,ケモカイン,増殖因子や細胞外マトリクス分解酵素など,がんの発生や進展を促進する作用があるさまざまな分泌因子を高発現する細胞老化随伴分泌現象(senescence-associated secretory phenotype:SASP)とよばれる現象を起こすことが明らかになってきた.このため細胞老化は短期的には異常細胞の増殖を止めるがん抑制機構として働くが,長期的にはがんの発生や進展を促進する2面性を有すると考えられる.本稿では細胞老化に伴うSASPという現象に着目すると同時に,最近明らかになりつつある腸内細菌との関係を交えて発がんメカニズムを考察する.
News & Hot Paper Digest
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