実験医学増刊 Vol.23 No.11

シグナル伝達研究2005-'06

生命現象や疾患を支配する分子メカニズムと新しい研究法−現在と未来−

  • 山本 雅,仙波憲太郎/編
  • 2005年06月20日発行
  • B5判
  • 245ページ
  • ISBN 978-4-89706-111-5
  • 定価:5,940円(本体5,400円+税)
  • 在庫:なし
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ゲノミクス・プロテオミクス技術やバイオインフォマティクスの発達により,細胞内で複雑に相互作用するシグナル伝達経路の真の姿がようやく見えてきた!細胞周期や免疫などの多様な生命現象は,シグナル伝達によってどのように制御されているのか?シグナル伝達系の破綻による各種疾患の発症メカニズムはどこまでわかったのか?躍進をつづけるシグナル伝達研究の最新の研究成果が効率良く理解できるレビュー集!

目次

概論:新たな方法論とともに展開するシグナル伝達研究【仙波憲太郎,山本 雅】

  • シグナル伝達経路のアウトライン
  • 生命現象にかかわるシグナル伝達とクロストーク
  • シグナル伝達研究の新しい方法論
  • シグナル伝達と疾患

第1章 シグナル伝達の主要因子・経路

1. Gタンパク質とその調節因子の多様性と機能〜三量体Gタンパク質の新たなシグナル伝達系【榎森康文】

  • Gタンパク質の分類とその概要-三量体Gタンパク質と単量体Gタンパク質
  • RGSは単なるGAP以上の働きをもつ
  • 単量体Gタンパク質のGEFは多様である
  • 単量体Gタンパク質のGAPも単なるスイッチOFFの因子ではない
  • Gタンパク質とGEF/GAP,そしてエフェクターがつくるネットワーク
  • 三量体Gタンパク質は細胞分裂時に紡錘体の位置を決定して非対称分裂を制御している

2. MAPキナーゼカスケードの多様な役割【山本拓也,西田栄介】

  • MAPキナーゼカスケードのファミリー分子とその役割
  • MAPKの制御機構
  • マウス着床前発生とMAPK
  • 肥満とMAPK
  • 記憶とMAPK
  • 老化とMAPK

3. チロシンキナーゼのシグナル伝達【山梨裕司】

  • PKTの構造
  • PKTの活性制御
  • PTKを介したシグナル伝達経路

4. NF-κBシグナルの制御メカニズム【金山敦宏,井上純一郎】

  • TNFR/IL-1R/TLR経路におけるユビキチンによるIKK活性化制御
  • 骨形成に重要なRANK経路におけるNF-κB活性化制御
  • 核内におけるNF-κB活性化制御

5. TGF-βスーパーファミリーのシグナル伝達【齋藤 朗,宮園浩平】

  • TGF-βスーパーファミリーのシグナル伝達
  • R-SmadとCo-Smadの複合体による転写制御
  • シグナルのクロストーク
  • タンパク質修飾によるTGF-βスーパーファミリーシグナルの制御

6. Aktの活性化因子と哺乳類における機能【樋口麻衣子,後藤由季子】

  • Aktの活性化メカニズム
  • Ser473キナーゼ(PDK2)
  • Akt機能の遺伝学的解析

7. Notchシグナル伝達のしくみと役割【若松義雄】

  • Notchシグナル伝達経路とその制御因子
  • Notchシグナルによって制御される生命現象

第2章 生命の形と機能を司るシグナル伝達

1. DNA損傷により誘導されるシグナル伝達ネットワーク【安田武嗣,花岡文雄】

  • 大腸菌のSOS応答機構
  • DNA損傷シグナルとその認識機構
  • DNA損傷シグナル伝達と細胞周期チェックポイント機構
  • DNA修復関連遺伝子の発現誘導機構
  • DNA損傷によるアポトーシス誘導機構

2. 分裂期キナーゼPlk1シグナル〜癌化との関連を中心に【丸本朋稔,佐谷秀行】

  • Plk1キナーゼ
  • Plk1キナーゼの生理機能
  • Plk1キナーゼが癌遺伝子であることの証明
  • Plk1キナーゼの癌における発現
  • Plk1キナーゼによる発癌機構

3. Wntシグナル伝達経路研究の最近の進歩【秋山 徹】

  • Wntシグナル伝達機構
  • Wnt
  • 受容体FrizzledおよびLRP
  • 分泌性Wntインヒビター
  • Frizzledから細胞内へのシグナルの伝達
  • β-カテニンの安定化
  • β-カテニン/TCF複合体による転写活性化
  • β-カテニンの機能阻害因子ICAT
  • BCL9によるβ-カテニン-TCFを介した転写の活性化
  • Wntシグナルの標的遺伝子Pitx2
  • Wntシグナルの標的遺伝子BAMBI
  • sFRPと癌
  • 癌の転移とβ-カテニン
  • Wntシグナルと遺伝性疾患

4. 細胞間接着分子とシグナル伝達〜ネクチンとネクチン様分子の機能と作用機構【山田章夫,入江賢児,高井義美】

  • 細胞間接着分子ネクチンによるシグナル伝達
  • Necl-5による細胞の運動・増殖のシグナル伝達
  • ネクチンとNecl-5による細胞の運動・増殖・接着シグナル伝達系のクロストーク

5. タンパク質の寿命・動態・機能を制御するユビキチンシグナル【松田憲之,田中啓二】

  • ユビキチン化のしくみ
  • ユビキチン鎖の種類

6. SOCS遺伝子によるサイトカインシグナルの制御【吉村昭彦,花田俊勝,小林隆志,盛 裕之,真嶋隆一】

  • CIS/SOCSファミリー分子の作用機序
  • SOCS1欠損病変と樹状細胞の制御
  • SOCS1による樹状細胞活性化制御機構
  • SOCS1遺伝子メチル化によるサイレンシングと癌化
  • SOCS3によるレプチンシグナルと肥満の制御

7. TLRシグナルと自然免疫【竹内 理,審良静男】

  • TLRとそのリガンド
  • TLRシグナリング
  • TLRとIFNシグナルのクロストーク
  • 細胞内における病原体認識機構

8. Sonic HedgehogとGli3の終脳発生過程での役割【元山 純】

  • ショウジョウバエHhカスケード
  • 脊椎動物におけるHhカスケード
  • 多重変異マウスを用いたShhとGli3の機能解析
  • Gli3とShhの間のバランス

9. 骨制御シグナルの新たな展開【高柳 広】

  • 破骨細胞分化の必須因子RANKLとM-CSF
  • RANKLの細胞内シグナル伝達
  • 破骨細胞分化のマスター転写因子NFATc1
  • 破骨細胞分化に必須の第三の受容体群の発見
  • サイトカインによるRANKL制御
  • Stat1およびIRF-9による骨代謝制御機構

10. 生物時計システムにおけるリン酸化の役割【深田吉孝,羽鳥 恵】

  • 概日時計の存在場所
  • 発振系の分子メカニズム
  • 光位相シフトにおけるリン酸化の役割

第3章 シグナル伝達研究における新たなアプローチ

1. トランスクリプトーム解析による血管内皮細胞シグナル伝達研究【南 敬,児玉龍彦】

  • VEGF,thrombin,TNF-αシグナルを介した網羅的遺伝子発現プロファイル比較
  • 血管内皮細胞におけるDSCR-1発現制御機構
  • DSCR-1構成的発現による内皮細胞の血管新生能の阻害と抗腫瘍活性
  • DSCR-1安定発現に伴う活性化血管内皮細胞の遺伝子変動の網羅的プロファイル
  • DSCR-1構成的発現による活性化内皮細胞の単球接着能の阻害

2. プロテオミクスによるシグナル伝達ネットワークの研究【長野光司,梶 裕之,礒辺俊明】

  • プロテオミクスによるタンパク質相互作用の大規模解析法
  • リン酸化タンパク質の大規模解析からのアプローチ

3. シグナル伝達研究のためのインタラクトーム解析【坂本 健,岩柳隆夫】

  • インタラクトーム解析法の概要
  • モデル生物の大規模なインタラクトーム解析
  • ヒトの大規模インタラクトーム解析およびデータベース化
  • タンパク質間相互作用のバリデーション

4. シグナルからシステムへ〜新しい知識基盤の登場【福田賢一郎】

  • 知識・データとしてのパスウェイ
  • パスウェイデータベース-計算機に知識を扱わせる試み
  • 共通交換フォーマット-BioPAXの取り組み

5. 情報伝達分子の生細胞イメージング【岩根敦子,上田昌宏,日比野佳代,佐甲靖志,柳田敏雄】

  • Ras-Raf相互作用の細胞内可視化計測
  • 細胞性粘菌の走化性応答

6. バイオプローブの探索と細胞内標的分子の同定【臼井健郎,叶 直樹,清水史郎,長田裕之】

  • フォワードケミカルジェネティクス-標的分子の同定
  • リバースケミカルジェネティクス-低分子マイクロアレイによる特異的リガンドの検出

第4章 シグナル伝達の異常による疾患・臨床応用

1. 核内受容体シグナルと疾患【加藤茂明,中村 貴,山本陽子】

  • 核内受容体の遺伝子発現調節機能
  • 核内受容体の生体内高次機能
  • 核内受容体の骨組織での機能

2. 糖尿病とインスリンシグナリング【木戸良明,内田 亨,小川 渉,春日雅人】

  • 肝臓におけるインスリン作用
  • 骨格筋におけるインスリン作用
  • 脂肪組織におけるインスリン作用
  • 膵β細胞におけるインスリン作用

3. 血管新生のシグナルと,その破綻による各種疾患【渋谷正史】

  • 生理的な血管新生促進のシグナル伝達
  • 生理的な血管抑制性のシグナル
  • 血管新生シグナルの異常増加(病的血管新生)
  • 血管・リンパ管シグナルの異常減少

4. p53ファミリーのシグナル伝達による癌抑制のメカニズム【井川俊太郎】

  • p53研究をふり返って
  • p53の現況と未来
  • p53シグナル伝達経路
  • p53のリン酸化などの修飾による活性制御
  • p53の転写非依存性のDNA修復とアポトーシス
  • p53の生物学的機能
  • p53ファミリー遺伝子
  • さまざまな生物種でのp53
  • p53ファミリーの臨床応用

5. gp130シグナルの異常とリウマチ様関節炎【澤 新一郎,村上正晃】

  • gp130を介するシグナル伝達
  • gp130ノックインマウスにおける関節炎
  • gp130F759マウスにおける関節炎
  • gp130F759マウスにおけるCD4+T細胞の恒常的維持異常

6. 神経シグナルと神経精神疾患【森 望】

  • 学習記憶にかかわるシグナル伝達とNMDA受容体シグナリング複合体
  • シグナル伝達異常による神経疾患

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