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細胞分裂過程のビッグデータ解析ー線虫の非対称分裂はシステム浮動により進化した

国立遺伝学研究所 木村 暁

物種間を比較してその相違から進化を考察する研究は,個体レベル(例えば,骨の数や形など)や分子レベル(DNA配列,アミノ酸配列)でさかんに行われている.一方で,細胞レベルでの研究はあまり例がない.その理由としては,細胞レベルではどの細胞も似たような働き(染色体を複製し,細胞を分裂する)をするため違いを論じにくい,あるいは逆に,そもそも分子の種類や配列が違えば細胞レベルで違うのは当たり前という考えがあろう.本研究の著者らは,桿線虫目に属する42種の線虫について細胞分裂過程を観察し,細胞レベルで種間比較研究を行った(Valfort AC, et al:PLoS Biol, 16:e2005099, 2018).これらの種は近縁なので分子配列的な違いはさほど大きくないと考えられる.さらに,受精後の第一分裂でどれも非対称分裂する(大きい細胞と小さい細胞にわかれる)という共通点がある.

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2018年5月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2018年5月号 Vol.36 No.8
クライオ電子顕微鏡で見えた生命のかたちとしくみ

井上尊生/企画
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