リリビトールはキシリトール系の糖アルコールで,バクテリア細胞壁タイコ酸の成分として知られているものの,脊椎動物に存在するとは考えられていなかった.ジストログリカンという基底膜受容体の糖鎖のなかにリビトールリン酸の形で存在することが突如として明らかになったのは2016年のことである.ジストログリカンの糖鎖異常は,ジストログリカン異常症とよばれる一群の筋ジストロフィーの原因になることが知られていたが,その原因遺伝子産物であるフクチン(FKTN),フクチン関連タンパク質(FKRP),イソプレノイドシンターゼドメイン含有タンパク質(ISPD)が,リビトールリン酸修飾に直接かかわることも同時に明らかになり,病態解明と治療法の開発に一筋の光が見えたことは記憶に新しい(詳しくは金川 基,戸田達史:実験医学増刊号「超高齢社会に挑む骨格筋ののメディカルサイエンス」,36:1238-1243,2018).
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