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Illumina帝国への挑戦者たち

東京農工大学大学院工学府生命工学専攻 養王田正文

Nature Method誌は2022年のMethod of the Yearにlong-read sequencingを選出した1).周知のように,Pacific Biosciences社のSMRT(Single Molecule Real-Time)sequencingでは20 kb以上の長鎖を99.9%精度で解析し,Oxford Nanopore Technologies社のnanopore sequencingでは,100 kb程度を99%精度で解析できる.この長鎖解析技術により,ギャップのないヒトゲノムの完全長解析が実現した2).しかし,long-read sequencing技術は,まだエラーが多いという問題があり,short-read sequencingによる解析とのHybridで解析が行われている.short-read sequencingの市場をほぼ独占してきたのが,Illumina社である.Illumina社は,群雄割拠したNGS戦国時代を勝ち抜き統一した勝者であり,1000ドルゲノムを実現し,現在のゲノム解析のコストは600ドルまで下がっている.Illumina社によるゲノム解析の支配に抵抗してきたのがlong-read sequencingの2社であるが,short-read sequencingでも挑戦者が現れて来ている3)

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DOI:10.18958/7223-00004-0000411-00

2023年4月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2023年4月号 Vol.41 No.6
クローン進化 病の起源を探る
がんの不均一性はなぜ生まれるのか 正常組織はいつ・どこで変異を獲得するのか

小川誠司/企画
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