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がんの100年来の謎に絶対定量で迫る ―早い増殖なのに静かな代謝

金沢大学がん進展制御研究所 河野 晋

1920年代に,がん代謝研究のパイオニアであるOtto Warburgが,がん細胞は好気的条件下でも解糖系を利用することを観測したことから,現在に至るまで,がん細胞はミトコンドリアにおける酸化的リン酸化を避けると考えられてきた.実際に,がん遺伝子であるK-RAS変異が解糖系酵素の発現誘導を引き起こすことや,がん抑制遺伝子p53変異がTIGARを介して解糖系を亢進することからこの仮説は支持されてきた.しかしながら,実際に腫瘍組織におけるTCA回路中の代謝物の流れ(TCAフラックス)が絶対定量されたことはなく,直接的に仮説は証明されていなかった.

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DOI:10.18958/7239-00004-0000464-00

2023年5月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2023年5月号 Vol.41 No.8
Aging Clock 生物学的年齢を測る
加齢性疾患を予測・予防し、健康寿命の延伸へ

早野元詞,寺尾知可史/企画
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