脳はリンパ管が欠如し,免疫特権がある(炎症反応や免疫応答などが起こりにくい)臓器と長らくみなされていたが,近年,髄膜のリンパ管の再発見(Louveau A, et al:Nature, 523:337-341, 2015)やそこに存在する豊富な免疫細胞(Rustenhoven J, et al:Cell, 184:1000-1016.e27, 2021)などの新知見から,中枢神経系の免疫・リンパ系の教科書的な理解が大きく変わってきている.さらに,アルツハイマー病などの疾患には,加齢に伴う髄膜リンパ管の機能不全が大きくかかわっている(Da Mesquita S, et al:Nature, 593:255-260, 2021)などの知見から,神経疾患の病態生理の理解にも変革が起きている.これらの新知見にここ数年主導的な貢献をしているワシントン大学キプニス教授の研究室から,加齢に伴う髄膜リンパ管の機能不全が脳免疫系の変化に起因しているという興味深い報告(Rustenhoven J, et al:J Exp Med, 220:e20221929, 2023)がされたのでここに紹介したい.
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DOI:10.18958/7323-00004-0000581-00