研究成果をもっと伝える プレゼンテーション スライド作成講座
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発表が楽しくなる!研究者の劇的プレゼン術

このコーナーでは,『実験医学』2010年9月号から全5回にわたって掲載された連載「プレゼンテーション スライド作成講座」より,誌面を一部抜粋,公開いたします.大切な研究成果をもっと魅力的に発表するための,すぐに活かせるスライド作成のTipsを,著者ならではの視点でご解説いただいています.ぜひご一読ください.なお本連載をもとに,ポスター発表や口頭発表についても強化した単行本『研究者の劇的プレゼン術』は,好評販売中です! (編集部)

「ある学生さんのスライド」を考える

実験医学2011年1月号掲載 連載 第5回より)

図1 ある学生さんのスライド

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さて,図1は当研究室に在籍した,ある学生さんのスライドである.DNTという細菌毒素の毒素活性ドメインをβ-ラクタマーゼと入れ替え,CCF2-FAという基質を使って毒素活性の代わりにβ-ラクタマーゼ活性を測定した実験の結果を示している.このスライド,本連載をここまで読んでくださった方々にはツッコミどころ満載の拙いスライドだと思う.では,このスライドのどこがダメで,どのように改善すれば「見やすく・わかりやすいスライド」になるのだろう? このスライドを使ってひたすら「見やすく・わかりやすく」を考えてみて欲しい.(中略)

図2 「ある学生さんのスライド」には問題がいっぱい

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それでは,図1の,学生さんのスライドを検証してみよう.このスライドをざっと見ると,図2に示したような問題点が浮かび上がる.これらを整理すると4種類に大別できる.

  • ①無駄なスペース.最初に目につくのは,グラフの左右と上部にある広大な余白だ.「余白を憎め!」の精神で無駄なスペースを極力減らそう.
  • ②グラフそのものが見にくい.プロット軸やプロットシンボルが細くて小さすぎて見にくい.ラベルに使用されているフォントが小さい.凡例が込み入っていて,聴者には意味不明の記述がある.
  • ③タイトル表示に配慮がない.タイトルの英数字にわざわざ幅の狭いフォントが使われている.β-ラクタマーゼのベータがギリシャ文字ではなくドイツ語のeszettが使われている.これは明らかな誤用.さらに日本語のタイトルでなぜかβ-ラクタマーゼだけが英語でスペルアウトされている.黒字のタイトルにわざわざ紫の暗色系の背景をつけている.このタイトルのテキストと背景の関係は,「見えない組合わせ」に近く,実際に見にくい.
  • ④意味不明の記述がある.読んで理解できない情報は,必要のない情報だ.
図3 「ある学生さんのスライド」の改善例

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これらの問題点を改善したのが図3のスライドである.いかがだろう? もちろん,これが唯一無二の改善例ではないが,皆さんそれぞれの好みに応じて改善したとしても,これまでの連載であげたポイントを押さえていただければ,同じような見やすいスライドになるはずだ.

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プロフィール

堀口 安彦(Yasuhiko Horiguchi)
1987年,大阪府立大学大学院農学研究科博士後期課程修了,北里研究所,大阪大学微生物病研究所・研究生,助手,助教授を経て,2001年より同研究所教授.大学院生時代を含めて,これまでは細菌性タンパク毒素の機能と構造に関する研究を行ってきたが,最近は病原細菌が宿主に起こす特異病態の発現機構や病原細菌の宿主特異性を決める因子の解析などに興味を広げている.

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