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原発性硬化性胆管炎に対するファージ療法

Phage therapy for primary sclerosing cholangitis
中本伸宏,金井隆典
Nobuhiro Nakamoto/Takanori Kanai:慶應義塾大学医学部内科学(消化器)
10.18958/7801-00001-0006137-00

肝胆膵領域の免疫難病の1つである原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)は高率に炎症性腸疾患を合併することを臨床的特徴とする.PSCは遺伝因子,免疫学的因子,環境因子など複合的な要因が病態の形成に寄与する多因子疾患と考えられているが,近年その要因の1つとして腸内細菌叢の関与が注目されている.腸内細菌の解析技術の進歩により,PSCに特徴的な腸内細菌叢の組成が明らかになりつつあるが,特定の腸内細菌が腸管外臓器である肝臓,胆道の病態に寄与する根幹的な機序は解明されていない.本稿において,われわれのグループによるPSCと腸内細菌の関連に関するヒトフローラ化マウスを用いた最近の知見と,特定の病原菌のみを選択的に殺菌可能であり耐性菌の出現頻度が低いバクテリオファージを用いた治療法開発の可能性について概説する.

原発性硬化性胆管炎,腸内細菌,炎症性腸疾患,ヒトフローラ化マウス,バクテリオファージ

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