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日本人の腸内ウイルスコミュニティ

Gut viral community in Japanese populations
植松未帆,植松 智
Miho Uematsu1)/Satoshi Uematsu1)2):大阪公立大学大学院医学研究科ゲノム免疫学1)/東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センターメタゲノム医学分野2)
10.18958/7801-00001-0006135-00

腸内ウイルスは嫌気性菌を宿主とするため単離が難しく,長年“viral dark matter”とよばれてきた.近年,メタゲノム解析技術の進展により,腸内ウイルス叢の構成や宿主予測が可能となった.日本人を対象とした大規模研究によると,特にcrAssphageが豊富で,年齢や疾患などの因子がウイルス叢に影響した.別の研究では,自己免疫疾患患者でcrAss-like phageやポドウイルス科の減少が観察され,ファージと細菌の相互作用が疾患に関与する可能性が示された.今後は,メタゲノム解析を基盤とした腸内細菌とファージ間の宿主寄生体関係の情報をもとに,個人差や疾患との関連性のさらなる解明が進み,これらの情報を活用した新たな治療法が開発されることが期待されている.

腸内ウイルス叢,次世代シークエンサー,メタゲノム解析,次世代ファージ療法

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