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脳内液性環境を司る脈絡叢:脳発生と機能調節の要

Choroid plexus: A key regulator of brain development and homeostasis through control of the cerebral fluid microenvironment
魚津孝允,堅田明子
Takanobu Uotsu1)/Sayako Katada2):九州大学大学院医学系学府1)/京都大学iPS細胞研究所2)
10.18958/7805-00001-0006166-00

脳脊髄液は,脳と脊髄を保護する組織液として重要だが,近年では血管周囲腔から脳実質に浸潤し,栄養供給や老廃物の排出など,脳の恒常性維持にも不可欠であることがわかってきた.この脳脊髄液の主要な産生組織が脈絡叢である.脈絡叢は毛細血管に富む薄膜房状の構造体で,すべての脳室に存在するが,毛細血管を隙間なく覆う脈絡叢上皮細胞が,血液から脳脊髄液を産生するだけでなく,さまざまな液性因子を分泌し,また血液脳脊髄液関門として物質輸送を厳密に制御している.本稿では,脳の発生から機能維持に至るまで,多彩な役割を果たす脈絡叢について概説する.

脈絡叢,脳脊髄液,血液脳脊髄液関門,液性因子

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