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染色体の構造に隠された嗅覚の謎を紐解く

東京農工大学大学院工学府生命工学専攻 養王田正文

乳類は,嗅覚によって,空気中の化学物質を匂いとして知覚する.鼻腔内部の嗅上皮組織に存在する嗅神経細胞(OSN:olfactory sensory neuron)の線毛に発現している嗅覚受容体(OR:olfactory receptor)が鼻腔内に取り込まれた匂い物質と結合することで,匂いが知覚される.ORはGPCRに属し,哺乳類のゲノムには多様なORがコードされている.ヒトは約400種類,マウスは1,000種類以上のORをもっている.ORはリガンドの選択性が比較的緩く,さまざまな匂い物質に対して応答する.また,1種類の匂い物質に対して,複数の種類のORが応答する.異なる匂い物質には,一部のORはオーバーラップしながら,全体としては異なる種類のOR群が応答し,多様な匂いを識別することができる.ORの遺伝子はさまざまな染色体に分散して存在するが,各OSNはそれらのなかから1種類のORの片方の対立遺伝子を発現している.ORが発見されて4半世紀以上が経過したが,1種類のORのみが発現されるメカニズムはいまだに謎である.

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2019年4月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2019年4月号 Vol.37 No.6
神経変性疾患の次の突破口
脳内環境の恒常性と異常タンパク質の伝播・排除

富田泰輔/企画
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