キメラ抗原受容体T細胞(chimeric antigen receptor T-cell,CAR-T)免疫療法は,30年ほど前に提案され,近年臨床応用されつつある細胞療法である(Hwu P, et al:J Exp Med, 178:361-366, 1993).T細胞を患者の体内から集め,体外でT細胞の表面にキメラ抗原受容体CARを発現させ増殖させた後に,患者の体内に戻し,治療に用いる.CAR-T細胞表面のCARががん細胞などターゲットの表面に結合することで,T細胞内部の信号伝達をトリガーし,細胞をすばやく破壊する.CAR-T療法は血液がんである急性白血病や非ホジキンリンパ腫の治療に顕著な効果があり,改良型CAR-Tは,固形がん,自己免疫疾患,HIV感染症,心臓病などの治療にも用いられつつある.
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