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反応性アストロサイトが分泌する神経毒性の原因物質が明らかに

大阪大学大学院医学系研究科 菊地正隆

組織には神経細胞に加えアストロサイトやミクログリア,オリゴデンドロサイトといったさまざまなグリア細胞が混在している.これらのグリア細胞は免疫作用や神経保護,神経細胞への栄養供給など多様な働きを担っている.しかし近年のシングルセル解析によって老化や疾患の発症に伴い,グリア細胞は諸刃の剣となることが明らかになってきた.スタンフォード大学のBen Barresらの研究チームは以前に神経毒性を有する反応性アストロサイト(著者らはA1アストロサイトとよんでいる)を同定した(Liddelow SA, et al:Nature, 541:481-487, 2017).この反応性アストロサイトは,神経炎症性ミクログリアが分泌するIL-1α,TNFα,C1qによって惹起されることがわかっていたが,神経毒性の原因物質についてはわかっていなかった.今回紹介する論文でBarresらの研究チームは網羅的なメタボローム解析やリピドミクス解析を駆使し,反応性アストロサイトが分泌する毒性因子の一部を同定した(Guttenplan KA, et al:Nature, 599:102-107, 2021).

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DOI:10.18958/6987-00004-0000105-00

2022年4月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2022年4月号 Vol.40 No.6
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小笠原 理/企画
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