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5億年をかけた動物のゲノム進化の概要が見えてきた

国立遺伝学研究所 川島武士

近ウィーン大学のシマコフ博士らが報告した動物の全ゲノム比較研究は,ゲノム進化分野の一里塚的な意味をもつと思われるので紹介したい(Simakov O, et al:Sci Adv, 8:eabi5884, 2022).彼らが対象としたのは,クラゲ,ホタテ貝,ナメクジウオなど21種で,いずれもゲノム配列がほぼ染色体の長さ程度まで解読されている動物である.シマコフらは21種における動物界全体の深層シンテニー(deep synteny)のリストを作成した.深層シンテニーとは,数億年経っても座位が同一染色体上に保存されている遺伝子セットのことである.このリストから,彼らは2つの重要な結果を得た.ひとつは,動物の共通祖先から現在に伝わる深層シンテニーを祖先的連鎖遺伝子群(ancient linkage groups,ALGs)と名付け,その数が29であることを突き止めたこと

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DOI:10.18958/7131-00004-0000262-00

2022年9月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2022年9月号 Vol.40 No.14
代謝調節の立役者 分岐鎖アミノ酸
骨・骨格筋・脂肪組織の恒常性、がん進展を司るエネルギー源・シグナル分子としての新機能

伊藤貴浩/企画
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