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自発的なDNA切断によるがん細胞の生存戦略

東京大学大学院薬学系研究科 野﨑啓史,北海道大学遺伝子病制御研究所 岡崎朋彦

んは,本邦において30年以上の長期にわたり最も死亡率の高い疾患である.これまでにさまざまな治療戦略が練られてきたものの,がんの完全な排除は難しく,治療後の再発などの問題は今もなお懸命にとり組まれている課題である.これはがんに対する代表的な治療法である放射線(IR)治療においても同様であり,IR耐性を示すがん細胞が一定数残存することが問題となっている.しかしながら,それらのがん細胞達がどのようにして耐性を獲得しているのかについては不明な点が多く残されている.これに対し,がん細胞が自らのDNAを自発的に切断することでDNA損傷応答を活性化し,IRによる致死的なダメージを回避する,という興味深い研究結果が報告された(Larsen BD, et al:Science, 376:476-483, 2022).

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DOI:10.18958/7133-00004-0000241-00

2022年10月号掲載

本記事の掲載号

実験医学 2022年10月号 Vol.40 No.16
免疫チェックポイント阻害薬の“耐性”に挑む
がん免疫サイクルから見出す戦略

冨樫庸介/企画
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