Glioblastoma(GBM)は現行治療では治療困難な悪性脳腫瘍で,さらなる病態生理の解明と,それによる新治療開発が求められる.GBM患者には言語障害・認知障害などの脳機能障害がみられるが,この原因は主に腫瘍増殖に伴う,周囲正常脳の圧迫であると考えられてきた.しかし近年の解析手法の発展によって,この理解は不十分だとわかってきた.GBM細胞は脳神経細胞と直接シナプス形成をして,神経細胞の電気的シグナルを変化させることや,神経細胞から増殖シグナルを得ていることなどがわかってきた(Venkatesh HS, et al:Cell, 161:803-816, 2015/Venkatesh HS, et al:Nature, 573:539-545, 2019).ただ,腫瘍細胞と神経細胞の関係についてはいまだ不明な点が多い現状だった.
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DOI:10.18958/7309-00004-0000550-00