研究成果をもっと伝える プレゼンテーション スライド作成講座
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発表が楽しくなる!研究者の劇的プレゼン術

このコーナーでは,『実験医学』2010年9月号から全5回にわたって掲載された連載「プレゼンテーション スライド作成講座」より,誌面を一部抜粋,公開いたします.大切な研究成果をもっと魅力的に発表するための,すぐに活かせるスライド作成のTipsを,著者ならではの視点でご解説いただいています.ぜひご一読ください.なお本連載をもとに,ポスター発表や口頭発表についても強化した単行本『研究者の劇的プレゼン術』は,好評販売中です! (編集部)

データスライドの役割と作成のコツ

実験医学2010年10月号掲載 連載 第2回より)

前回書いたように,実験結果や仮説の説明など,発表内容の軸になるスライドを本連載ではデータスライドとよぶ.データスライドの構成パーツにはグラフ・表・イメージ(写真など)・フローチャートやイラストがある.これらのデータスライドのうち、グラフ・表を作成する際に考えるべきことを,以下に述べる.

グラフの場合

図1 グラフスライド

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グラフは実験結果の数値を分析したり,直観的に理解するためのものである.多くの講演では,この種類のスライドが主要な役割を果たすことになる.現在では,専用のコンピュータソフトを使ってグラフを作成するのが普通だ.実験データの記録や解析によく使用されるExcelなどの表計算ソフトにはグラフ作成機能も用意されているが,それらの多くは科学データのグラフ作成に向いているとは言いがたいので,グラフ作成専用のソフトを使おう.カレイダグラフ,Graph Pad Prismなど,そのようなソフトはたくさん市販されているので,好みに合わせて選択していただきたい.

一般に,連続的な条件変化に対して得られた実験データは折れ線グラフで示し,不連続な条件や独立の実験群で得られた実験データは棒グラフで示す.それ以外にもいろいろとグラフの種類はあるが,誌面の都合でここでは取り上げない.折れ線グラフでは縦横軸のラインとデータのラインは同じ太さか,データラインの方をより太く描く.折れ線グラフも棒グラフも横軸のタイトルや数値は軸の下に表記する.縦軸のタイトルは軸の左側に90°傾けて表記するのが普通であったが,最近は縦軸の上部に水平に表記する例もよく見られる.典型的な折れ線グラフの例を図1に示す.上図は見やすさを配慮していない例,下図は見やすいように工夫した例である. 軸のラベルや数値などはバランスが崩れない範囲内でできるだけ大きなフォントを使おう.縦軸のラベルはときにグレーテキストのようにグラフの左上部に掲げることもある.また,実験群の区別を凡例としてまとめるよりもグラフ内に書き込んだ方が一目でわかりやすい.

表の場合

図2 表スライド

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表は,実験データのみならず,資料や参考データをリストアップするときなどさまざまな局面で利用できる.一方で実験データを表にする際,そのデータはグラフ化できないのかどうか最初に検討しよう.グラフ化できるのなら迷わずそうするべきだ.実験データを理解するのには,数字の並んだ表よりも視覚化されたグラフの方がはるかに優れているのだから.

実験データの表は,複数のサンプルについて複数の独立した結果を示すのに使われることが多い.表を作成するときは縦の列と横の行にどんな要素を置くのかよく考えないと,バランスの悪い,見にくい表になってしまうので気をつけよう.このときにポイントとなる考え方は2つある.1つは「横書きのテキストが収まりやすいようにする」ということである.例を図2に挙げる.図2Aの上図は,横書きの長い文字列からなる要素を考慮せずに表を作成して,収拾がつかないくらいバランスが悪くなっている例である.この表では,全体をスライド内に収めるためにフォントも小さくなっているので読みにくい.それに対して下図は,横書きの要素が縦に並ぶように表の行と列を考慮している.こうすることで全体がコンパクトにまとまり,大きなフォントが使用できる.表を作成する際の2つ目のポイントは「横に並んだ数値よりも,縦に並んだ数値の方が比較しやすい(見やすい)」ということである.図2Bを見て欲しい.上図も下図も,種々の毒素のマウス系統ごとの半数致死量を示している.この架空の実験の目的は,種々の細菌毒素に対する感受性がマウスの系統によって異なることを示すことにあるので,同じ毒素の半数致死量をマウス系統間で比較する必要がある.そのためには上図では,横に視線を移動させて数値を比較しなければならない.一方下図では,縦に視線を移動させて数値を比較する配置になっている.上図よりも下図の方が見やすいと思うが,いかがだろう?

※次回は 「余白を憎め!」 です.

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プロフィール

堀口 安彦(Yasuhiko Horiguchi)
1987年,大阪府立大学大学院農学研究科博士後期課程修了,北里研究所,大阪大学微生物病研究所・研究生,助手,助教授を経て,2001年より同研究所教授.大学院生時代を含めて,これまでは細菌性タンパク毒素の機能と構造に関する研究を行ってきたが,最近は病原細菌が宿主に起こす特異病態の発現機構や病原細菌の宿主特異性を決める因子の解析などに興味を広げている.

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