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サイコバイオティクスによる抗うつ効果の分子機構

東北大学大学院農学研究科 西山啓太

年,「脳腸相関」が注目され,腸内細菌叢が末梢神経系および中枢神経系と複雑に連携していることが明らかになりつつある.この脳腸相関では,迷走神経系,内分泌系(視床下部-下垂体-副腎軸),免疫系など複数の経路を介した情報伝達が機能している.これらは精神疾患の病態とも関連することが報告されている.こうした背景のなかで,人体に存在し,有益な影響を及ぼす微生物であるプロバイオティクスが精神疾患の治療や症状緩和に役立つ可能性が注目されており,特にサイコバイオティクス(psychobiotics)とよばれる.しかし,サイコバイオティクスがどのように脳機能を変化させ,精神疾患を改善できるのか,その具体的な分子メカニズムについてはいまだ不明な部分が多くあった.果たして腸内細菌が産生する代謝産物は,どのようにして脳内の状態を変化させ,精神疾患を改善することが可能となるのだろうか? この重要な問いに明確な答えを示したのが,今回紹介する研究である(Qian X, et al:Cell Rep Med, 5:101798, 2024)

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DOI:10.18958/7757-00004-0006070-00

2025年7月号掲載(6/20更新)

本記事の掲載号

実験医学 2025年7月号 Vol.43 No.11
特集1:疾患の運命を握るRNA修飾 技術革新が紐解くがん・代謝・免疫との新しい関係/特集2:創薬スタートアップの先駆者が語る掟と現実 「谷」を越えるチームづくりから知財戦略・資金調達まで

魏 范研,鈴木 勉/編,深津幸紀/企画/企画
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