
われわれは空腹時には貯蔵しているグリコーゲンや脂肪を分解し,肝臓からの糖放出を行うことで生存のために必要な血中ブドウ糖濃度を保っている.一方で食後には,全く逆の働き,つまりグリコーゲンや脂質の合成・貯蔵を行う.したがって,糖代謝と脂質代謝は空腹時と食後において協調的な働きが求められる.肝臓は糖・脂質代謝の中枢器官であり,その制御破綻は2型糖尿病(T2DM)や代謝性肝疾患(MAFLD)に深く関与する.今回,m6A脱メチル化酵素ALKBH5が,肝臓においてGCGR(glucagon receptor)経路とEGFR-mTORC1経路を同時に調節することで,糖・脂質代謝を協調的に制御する分子機構が報告されたので紹介する(Ding K, et al:Science, 387:eadp4120, 2025).
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DOI:10.18958/7769-00004-0006097-00