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RAS阻害薬時代におけるRASシグナルの可塑性:エフェクター経路から代謝・腫瘍微小環境まで

RAS signaling plasticity in the era of RAS inhibitors: from effector pathways to metabolism and the tumor microenvironment
10.18958/8015-00036-0006641-00
衣斐寛倫
Hiromichi Ebi:愛知県がんセンター研究所がん標的治療トランスレーショナルリサーチ分野/愛知県がんセンター病院ゲノム医療センター/名古屋大学大学院医学系研究科先端がん標的治療学講座

RASは,PI3K,MAPK,Ralシグナルをはじめとする複数のエフェクター経路を介して,がん細胞の生存・増殖を制御する.これらの下流では,代謝経路や細胞死・生存機構に関与する分子の発現が誘導される.さらに,RAS変異がん細胞はケモカインやサイトカインの産生,腫瘍抗原の発現変化,メタボライトの放出などを通じて,腫瘍微小環境を免疫抑制的に制御している.RAS阻害薬は,これら,がん細胞の生存に必要な環境を遮断することで,細胞死を誘導することが期待される.一方で,MAPKシグナルは活性が一定になるよう厳密に制御されており,RAS阻害薬の投与はフィードバック機構を介した再活性化を誘導する.また,RAS阻害薬の投与は,代謝経路や細胞生存機構,腫瘍微小環境のリプログラミングを誘導し,変異RASに生存を依存しない状態,すなわち阻害薬耐性を誘導することが予想され,その理解と制御が必要である.

RAS阻害薬,代謝経路,MAPKシグナル,腫瘍微小環境

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