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全身麻酔と睡眠の意外な共通性⁉神経内分泌ニューロンの関与
理化学研究所生命機能科学研究センター 後藤哲平,宮道和成
後漢の『三国志』には神医・華陀による全身麻酔術の記述があるがその麻酔薬の配合は知られていない.近代的な全身麻酔は19世紀にはじまり,外科医療に革命を起こした.しかし,全身麻酔がどのような作用機序で意識消失状態をつくり出しているのか,それは自然に起きる睡眠時の意識消失とどのような関係にあるのか,じつはほとんどわかっていない.さまざまな麻酔薬の作用機序の先行研究から,共通メカニズムとして神経活動が抑制されることが見出されてきた.また,全身麻酔が睡眠のうち徐波睡眠 (ノンレム睡眠) に似た脳波の特徴をつくり出すことが示唆されていた.今回紹介する論文(Jiang-Xie LF, et al: Neuron, 102:1053-1065, 2019)は全身麻酔薬が共通して視床下部の神経内分泌細胞を活性化することを見出し,世界を驚かせた.
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本記事の掲載号
実験医学 2020年3月号 Vol.38 No.4
GWASで複雑形質を解くぞ!
多因子疾患・形質のバイオロジーに挑む次世代のゲノム医科学
鎌谷洋一郎/企画