実験医学 2013年2月号 Vol.31 No.3

構造から創薬に向かうGPCR研究

シグナルを呼び起こす,そのダイナミクス

  • 小笹 徹/企画
  • 2013年01月21日発行
  • B5判
  • 125ページ
  • ISBN 978-4-7581-0092-2
  • 定価:2,000円+税
  • 在庫:なし
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《企画者のことば》

この数年,GPCR(Gタンパク質共役型受容体)のX線結晶構造が次々と報告され,GPCRシグナル伝達系の三次元構造の理解が急速に進みつつある.これに伴い,GPCR系を標的とした創薬も大きな転換期を迎えている.本号では,今後の新たな創薬への展開が期待される,GPCRシグナル伝達研究の構造解析の現状を中心に特集した.

2012年ノーベル化学賞受賞テーマ!市販薬の約半分が標的とするGタンパク質共役型受容体.そのシグナル認識機構から,活性化の瞬間を捉える構造解析の技術まで,いま最も注目される研究内容を余さず紹介.

目次

特集

構造から創薬に向かう GPCR研究
シグナルを呼び起こす,そのダイナミクス
企画/小笹 徹
創薬への展開を目指したGPCRシグナル伝達研究の現状【小笹 徹】
この数年,GPCR(Gタンパク質共役型受容体)のX線結晶構造が次々と報告され,GPCRシグナル伝達系の三次元構造の理解が急速に進みつつある.これに伴い,GPCR系を標的とした創薬も大きな転換期を迎えている.本号では,今後の新たな創薬への展開が期待される,GPCRシグナル伝達研究の構造解析の現状を中心に特集した.
GPCRのX線結晶構造解析に成功するための技術的進展【小林拓也/岩田 想】
医学,創薬において非常に重要な働きを担うGPCRは,構造生物学にとって最後の開拓地といわれてきた.2007年にはじめてヒト由来のβ2アドレナリン受容体の結晶構造解析を皮切りに,これまでにいくつかのGPCRの構造が高分解能で解かれている.これらの成功の陰には世界中の研究者の絶え間ない努力と信念があった.GPCRの結晶構造解析を成功させるためには,いくつかのボトルネックを克服する必要があった.本稿では,国内,国外のGPCRのX線結晶構造解析への試みとそこで生まれたいくつかの技術について解説する.
ムスカリン性アセチルコリン受容体と創薬【芳賀達也】
ムスカリン性アセチルコリン受容体(ムスカリン受容体)は末梢神経系(主として副交感神経標的器官)と中枢神経系全般で働く.アルツハイマー病,統合失調症,パーキンソン病などの薬物の標的となる可能性がある.最近ムスカリン受容体M2,M3サブタイプの立体構造が解明され,アロステリックサイトの構造も明らかにされた.サブタイプ特異的なアロステリックリガンドの開発が期待される.
ロドプシンにみるGPCRの活性化機構【岡田哲二】
2012年のノーベル化学賞の受賞対象となったGPCR研究の歴史のなかで,ここ数年の結晶解析による立体構造解明の進展は著しいものである.その背景には,ロドプシンをはじめとするレチナールタンパク質に関する研究の流れがあり,そこには脂質存在下での結晶化法の確立といったテクニカルな側面からの寄与がみられるだけでなく,受容体活性化機構に関する先駆的な発見をもみることができる.進化の過程で基本作動様式を保存しつつ多様化に成功したともいえる精密素子としてのGPCRについて,これまでに明らかになった構造的知見を解説する.
GPCRシグナル制御機構の多様性と創薬【伊東 広】
細胞が集団となって生命活動を営む多細胞生物に至る過程において細胞の分業化が進むとともに,Gタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptor:GPCR)の数が顕著に増大した.最近の構造解析より,GPCRのシグナル認識機構やGタンパク質活性化機構など,その詳細が明らかとなってきた.一方,新たなGタンパク質の阻害剤や制御因子Ric-8の作動機構の解析が進み,GPCRシグナル伝達制御機構の多様性が明らかとなった.われわれの研究を含めて,これらの最近の知見と創薬研究との関連を紹介する.
ホルモンによるGタンパク質活性化機構【Jacob P. Mahoney/Roger K. Sunahara】
この5年間に爆発的に蓄えられたGPCR結晶構造に関する知見によって,われわれはリガンド認識―細胞外のシグナルを細胞内にどのように伝達しているのか―に関する基本原理の理解を劇的に深めることができるようになった.表にあるように,今日までに17種類を超えるGPCRの高分解能結晶構造が得られている.またこの受容体のなかには,いくつかの異なった状態の立体構造をとることが示されているものもある.特にGタンパク質と結合している“完全な”活性型(fully activated)β2アドレナリン受容体(β2AR)の構造が解明されたことで,アゴニストやホルモンのGPCRへの結合様式機構はもとより,この結合によってGタンパク質からのGDP放出を促進させる構造にGPCRが安定化されるメカニズムについての見識も深まった.そこでこの総説では,最近の構造解析研究をもとに,リガンド刺激からGPCRによるGタンパク質活性化に至るメカニズムについてさまざまな角度から焦点を当て,解説する.
GPCRシグナルの動的作用機構の解明【鈴木信周/小笹 徹】
タンパク質構造変化に基づく,一時的なタンパク質―タンパク質結合・解離のダイナミクスがGPCRシグナル伝達の根幹をなす.シグナル特異的にタンパク質表面に新しいインターフェースが創出され,そこに“相補的な”特異的アミノ酸配列群をもった分子(標的分子)が結合する.結合によって新たなインターフェースの創出が進行し,タンパク質複合体が形成されていく.特異的シグナルの伝達は,特有な構造変化によって惹起される.われわれはGPCRシグナルの動的作用機構―どのように複合体形成が進んでいくのか―を理解するために,タンパク質―タンパク質インターフェースで創出される疎水結合や,水分子の動きを熱力学的パラメータの変化(自由エネルギー・エンタルピー・エントロピーの変化)として捉え解析することを試みている.本稿では,三量体Gαサブユニットとその標的分子,Gα13とRH-RhoGEF間のインターフェースに着目し,特異的なシグナル活性が惹起されるメカニズムを熱力学的解析法を利用して解説する.

Update Review

光学顕微鏡の限界を超えた超解像イメージング【藤田克昌】

トピックス

カレントトピックス
シナプス接着分子neuroligin-1の神経活動依存的なタンパク質切断【鈴木邦道/富田泰輔/岩坪 威】
ネットワークモデルの構築とライブイメージングによるがん細胞の浸潤性転換を制御するPI3K-PKCαシグナルの解明【星野大輔/Alissa M. Weaver/清木元治】
ショウジョウバエの報酬伝達神経回路【山方恒宏/麻生能功/谷本 拓】
スリングは高ずり応力下における好中球ローリングを可能にする【桒野嘉弘】
酸化ストレス応答シグナルおよび細胞死を制御する因子KLHDC10の同定【関根悠介/一條秀憲】

連載

クローズアップ実験法
一細胞質量分析法による迅速一細胞薬物代謝解析【伊達沙智子/津山尚宏/升島 努】
絵で見る先端分子生物学
未だに謎を秘めた遺伝暗号解読装置 “リボソーム”【解説:胡桃坂仁志/絵:松本亮平】
Campus & Conference探訪記
自然免疫から自然炎症へ【三宅健介/改正恒康/牟田達史/長岡 功】
ラボレポート ―独立編―
層が厚く,厳しく,自由なアメリカの科学 ―Cold Spring Harbor Laboratory【古川浩康】
Opinion ―研究の現場から
就職氷河期の進学先・キャリア選び【兼崎 友】

関連情報

カレントトピックス Online Supplemental Data

  • [1] ライブイメージング解析による新規浸潤突起形成の可視化(コントロール)
  • 星野大輔/Alissa M. Weaver/清木元治
  • 36秒 2013年1月21日公開
  • 1 ライブイメージング解析による新規浸潤突起形成の可視化(コントロール)
  • [2] ライブイメージング解析による新規浸潤突起形成の可視化(PKCα遺伝子抑制)
  • 星野大輔/Alissa M. Weaver/清木元治
  • 24秒 2013年1月21日公開
  • 2 ライブイメージング解析による新規浸潤突起形成の可視化(PKCα遺伝子抑制)

説明:SCC25-H1047R細胞にm1Venusタグ付きジキシン(接着班マーカー)およびtdTomato タグ付き-F-tractin(アクチンマーカー)を発現させた細胞をフィブロネクチンコートディッシュで培養後,血清不含培地で24時間培養した.その後,血清刺激を加え90秒間隔で90分間共焦点顕微鏡で撮影した.コントロールが【1】,PKCα遺伝子抑制が【2】である(Hoshino, D. et al.:Sci. Signal., 5:ra66, 2012より転載)

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