令和8(2026)年度の科学研究費助成事業(科研費)の変更点など(2026.03.24掲載)

執筆:久留米大学客員教授,ジーラント株式会社代表取締役児島 将康

3月18日に令和8(2026)年度の科研費の変更点等について、日本学術振興会のHPで、今年の公募スケジュールとともに、挑戦的研究および学術変革領域の改善などが発表された。


1.公募スケジュールが示された。

令和8(2026)年度に公募される令和9(2027)年度科研費の公募スケジュールは、基盤研究(A, B, C)、若手研究、挑戦的研究などは7月14日(火)が公募開始日、9月17日(木)が締め切り日である。審査結果の発表が基盤研究(A, B, C)と若手研究は令和9年2月26日(金)である。挑戦的研究は「事前選考」の発表が2月下旬、審査結果の発表が6月30日(火)である。


2.挑戦的研究(開拓・萌芽)の改善として、3つの改善案が示された。

①挑戦的研究(萌芽)と基盤研究(C)の重複制限緩和:これまでは重複制限で同時に応募できなかったが、令和9年度から39歳以下の若手研究者に限って挑戦的研究(萌芽)と基盤研究(C)の重複応募が可能となり、同時に採択された場合は両方を受給できる。発表では「対象範囲を検討していく」と書かれているので、今後はさらに年齢制限が上がっていくものと思われる。この変更によって、これまで自信がなくて挑戦的研究(萌芽)へ応募することを控えて基盤研究(C)だけに応募していた研究者が両方に応募するようになり、日本の研究力向上につながると思う。

②挑戦的研究(開拓)の審査方式が「2段階書面審査」となる予定である。従来の2段階目は合議審査だったので、この変更で審査委員の審査にかける時間が減り、効率化につながると思う。

③挑戦的研究(萌芽)から挑戦的研究(開拓)への接続強化(予定):過去に採択された挑戦的研究(萌芽)からの発展性が確認できるようにするのと、挑戦的研究(萌芽)の最終年度前年度に挑戦的研究(開拓)新たに応募できる「研究計画最終年度前年度応募」が導入される。


3.学術変革領域(A・B)の改善として、3つの改善案が示された。

①学術変革領域(B)の領域代表者の年齢上限の引き上げ:領域代表者の年齢上限がこれまでの45歳以下から、49歳以下に引き上げられる。

②学術変革領域(A・B)の領域構成で「45歳以下を代表とする計画研究を2課題以上含むこと」としている年齢要件の引き上げ:年齢要件がこれまでの45歳以下から、49歳以下へ引き上げられる。

③学術変革領域(B)の公募・審査において「過去の採択研究課題からの発展性」が確認できるようになる。ただし「過去の採択研究課題」といっても「挑戦的研究(萌芽・開拓)」および「創発的研究支援事業」が対象である。


その他の変更点として、

4.学術変革領域(B)および基盤研究(S)が基金化される。


5.国際・若手支援強化枠で採択された研究課題の延長申請期限が延長となる。

国際・若手支援強化枠で採択された研究課題のうち、令和11(2029)年度が研究計画最終年度にあたる研究課題について、延長申請期限が令和12(2030)年3月1日(従来は令和12年2月1日)までの1カ月の延長となる。


以上が令和8年度の変更点である。これらのなかで「2.挑戦的研究(開拓・萌芽)の改善」がもっとも影響が大きいと思われる。令和8年度の応募開始までは、あと4カ月である。応募予定の方は今から準備しておくのがよいだろう。

参考情報

本書関連項目

  • 1章-2.科研費の種類(P26〜)
  • 1章-4.審査のしくみ(P40〜)
  • 1章-5.申請から採択まで(P47〜)
  • 1章-7.科研費の基金化,調整金,合算使用,バイアウト制度(P60〜)
  • 2章-1.応募種目の選び方:複数種目への応募(P80〜)

出典

これまでの速報

児島 将康

(久留米大学客員教授,ジーラント株式会社代表取締役)

書籍「科研費獲得の方法とコツ」「科研費申請書の赤ペン添削ハンドブック」著者.毎年の科研費公募シーズン前後に20件近くの科研費セミナーで講演し,理系・文系を問わず申請書の添削指導を行っている.令和6年4月より研究者を支援するジーラント株式会社(https://g-rant.org/)を立ち上げ,活動している.

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