検出力

遺伝子疾患関連解析では,着目した対立遺伝子が疾患発症と関連があるか否かの統計学的な評価(仮説検定)を行う.仮説検定においては,検定によって棄却したい仮説(この場合は「対立遺伝子と疾患との間には関連がない」)を帰無仮説H0といい,立証したい主張(この場合は「対立遺伝子と疾患との間には関連がある」)を対立仮説H1という.得られたデータがH0にきわめて不利な証拠を与えているときにのみH0を棄却してH1を採択し,そうでなければH0を真とみなすことにする.H0にきわめて不利な証拠とは,H0が正しいと仮定されたとき,観察データが得られる確率がきわめて低いことをいう.観察データが,H0のもとで0.20や0.30の高い確率で生じうるとすれば,これはH0に不利な証拠を与えているとはいえない.したがって,H0を棄却できるのは,H0が正しいと仮定したときに,きわめて小さな確率αでしか生じないデータが観察された場合である.αとしては通常0.05が用いられ,有意水準とよばれる.H0を棄却した場合であっても,実際にはH0が真の場合もある.これを第一種の過誤といい,第一種の過誤が起きる確率はαである.また,実際にはH1が真であるのに,H1を棄却してH0を採択してしまうこともある.これを第二種の過誤という.第二種の過誤が起きる確率をβであらわすと,H1が真の場合に,正しくH0を棄却してH1を採択する確率は1-βであらわされ,これを検定の検出力という.

実験医学増刊 Vol.27 No.12

参考書籍

  • [SHARE]
  • Send to Facebook
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

バイオキーワード集:索引


A B C D E
F G H I J
K L M N O
P Q R S T
U V W X Y
Z        
数字 その他