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このコーナーでは,本誌コーナー「ただいま後期研修中!」の一部をお読みいただけます.内容は掲載時のものです.

腫瘍内科医として化学療法から緩和ケアまで携る
金沢医科大学腫瘍内科  中谷直喜

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1.腫瘍内科の道を選んだ理由

研修風景

↑当院全スタッフ対象で行っている緩和ケア委員会・オープンカンファレンスの写真です.筆者はこのときには司会をさせていただいています.

初期研修の最初の頃までは,がんの治療に携わろうとは全く思っていませんでしたが,初期研修の内科を回っているときにがんの化学療法というものに携わり,ちょうどその頃に『がん薬物療法専門医』という化学療法の専門医制度が始まったことを知りました.また抗がん剤が次々と生み出されており,がんのさまざまなメカニズムの研究や治療薬につながる研究もできればやりがいがあるなと思い化学療法を中心としたがんの専門医をめざして,金沢医科大学腫瘍内科学(旧腫瘍治療学)に入局しました.

2.当院での後期研修

化学療法を専門的に行う科は北陸地方の大学や病院では少ないですが,当科では消化器癌・呼吸器癌・悪性リンパ腫・頭頸部癌・脳腫瘍など多分野にわたる化学療法に参加でき,魅力があります.さまざまな科の先生の疑問を聞き,それについての最新の国内外の知見などを勉強し,当該科の先生と話し合いをすることで患者様の治療の展望が開けてきたときには,改めて当講座を選択して良かったなと感じます.もちろん自ら抗がん剤を始めとするがんに関するさまざまな勉強が必須であり,欠かせば患者様に最適な治療ができません.

当講座主催でCancer Boardというカンファレンスを行っています.がん患者様の症例検討会で,多臓器転移や異なるがん種に同時に施行している標準治療では対応できない症例について,各科の医師と討論し最良の治療方針を決定します.腫瘍内科医が各科医師の意見を聞きながら抗がん剤の特性や疾患に対するさまざまなエビデンスを呈示し,カンファレンスを進行しているので非常に勉強になります.

がん診療では治療だけではなく,疼痛軽減や精神的苦痛の改善を目的とした緩和ケアが必要であり,当講座も積極的にかかわって緩和ケア委員会・チームを立ち上げ,何が患者様にとってより満足のいくことなのか,麻酔科,精神科を始めとしたさまざまな科の医師やコメディカルスタッフの方々と検討しています.今まであまり注目されていなかったこともあり,必要性を自らも勉強して患者様の満足度を上げることが大事だと考えています.

当講座では診療だけではなく,大学という特性も活かして,腫瘍内科学の学生教育やがん細胞の抗がん剤耐性などの研究も行っています.

3.初期研修医の皆さんへ

初期研修で内科・外科を回った際,さまざまながん患者様の治療に携わったと思います.適切ながん治療には手術に加えて抗がん剤の重要性は増しています.抗がん剤の投与量や化学療法に伴う副作用などの対処もそれぞれの薬剤で異なっており,専門的な知識をもって適切に対応することが求められます.また未だ解明されていない発がんのメカニズムや画期的な治療薬の開発などもまだまだ研究の余地が残されています.

今後,腫瘍内科医は今より,がん診療に参画することが多くなると予想されます.抗がん剤を用いたがん治療や,がん研究に興味のある方,ぜひ一緒にやってみませんか.

2009年3月号掲載

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執筆者プロフィール

中谷直喜(Naoki Nakaya)
  • 金沢医科大学腫瘍内科

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