このコーナーでは,本誌コーナー「ただいま後期研修中!」の一部をお読みいただけます.内容は掲載時のものです.
以前は内科医として抗がん剤治療にかかわろうと考えていましたが,病気が進むにつれ身体的精神的な苦痛を抱える患者様に対して非力な自分をもどかしく思っていました.一方,そのような患者様でも自宅に帰ることで明るくなる姿をみて,家で過ごすことはこんなにも人を元気にするのだなと実感していました.
緩和医療について見様見真似で対応していた自分は,「しっかり学ばなければならない」と一念発起.米国ホスピス緩和医療専門医から一流の緩和医療を学ぶことができ,なおかつ院内に在宅医療部があり在宅緩和ケアも実践できる,亀田総合病院の門を叩きました.
↑在宅・緩和ケアカンファレンスにて.前列左から在宅医療部部長の小野沢滋先生,筆者,疼痛・緩和ケア科部長代理の関根龍一先生.
緩和ケアの研修期間は2年間で,最初の1年間は緩和ケアチームでの活動が中心でした.疼痛をはじめさまざまな症状への対応,心のケアなどについて,多くのがん治療中の患者様や終末期の患者様とのかかわりを通じて実践的に学ぶことができました.亀田総合病院の緩和ケアチームは,JPAPR(Japan Partners Against PainR)オレンジサークルアワードにおいて最優秀のBest Team Of The Yearを受賞するなど多職種での活動に評価をいただいており,自分としてもさまざな職種の方と連携して患者様に適切なケアが提供できることにやりがいを感じています.
2年目の現在は,在宅医療部とのコンバインド研修ということで,週2日往診しています.病棟でかかわっていた患者様の自宅へ往診にも行けるようになりました.病院よりも明るい表情で迎えてくれる患者様を診るのが,自分にとって一番の喜びです.病院でも自宅でも同じ医師がかかわるということは,治療内容の継続という意味でも,患者様や御家族の安心感という意味でも,メリットは大きいと実感しています.日本緩和医療学会と日本在宅医学会の専門医受験資格がともに得られるのも,この研修プログラムの特徴です.
初期研修のときに自身が感じた素直な気持ちを大切に,将来のことを考えればよいと思います.自分の場合は,目の前の患者様の苦しみを何とか支えられるようになりたいと,緩和ケアの道を選びました.亀田総合病院は同じ患者様に対して,外来~入院~在宅という一連の流れを通してかかわれる稀有な施設です.興味がある方はホームページをご参照のうえ,見学に来てみませんか.
2011年7月号掲載
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