このコーナーでは,本誌コーナー「ただいま後期研修中!」の一部をお読みいただけます.内容は掲載時のものです.
「総合診療部」というものが周囲に存在せず,何科に興味があるのかもわからず悩んでいた学生時代,先輩に勧められて見学に行った他大学の総合診療部を見て,「これだー!!」という,感動で胸が震えたことを今でもよく覚えています.3年目からの後期研修先としても迷いなく「総合診療部」を選びましたが,なぜ自治医科大学を選んだのか? 単純と思われるかもしれませんが,一番の理由は,初期研修医時代,部長の黒木茂広先生から度々指摘された「目の前の患者が自分の親だったら,祖父母だったらどうする」「迷ったときはベッドサイドに行け」という考え方に感銘を受け,そのような先生のもとで働きたいと思ったからです.総合診療部と感染症科の関係が非常に良好であり,大好きな感染症に関していつでも米国感染症専門医の矢野晴美先生のご意見を伺える環境というのも大きな理由でした.
↑部長の黒木先生(左から2番目),病棟医長の津本順史先生(左端),研修医の先生と筆者(右端).
3年目は,初期研修で回りきれなかった内科に加え,緩和ケア科,放射線科など臓器横断的な科をローテーションし,4年目からは本格的に総合診療部スタッフとして1年のうちの6カ月を病棟,3カ月を外来(在宅診療含む),残り3カ月を院外で研修しました.不明熱を中心に診断のついていない病態に対する診療,終末期医療,複数の問題をかかえた患者の診療,老年医学などなど,毎日勉強することはいっぱいありますが,優れた指導医,人として尊敬できる同期に囲まれ,いい意味で「ガツガツしていない」穏やかな雰囲気をもつ自治医大総合診療部が自分は大好きです.また,研修医の指導や,感染症科の矢野晴美先生のご指導を受けながら医学生の臨床推論のセッションにファシリテーターとして参加することも,「医学教育」に関して興味はあったが無知であった自分にとって大きな刺激となっています.唯一自分が懸念していたのは,初期研修から自治医大を離れていないために,「自分は外の医療を知らない」ということでしたが,後期研修プログラムの院外研修期間を利用して,4年目には大船中央病院内科,5年目には都立多摩総合医療センターリウマチ膠原病科で各3カ月学ぶことができ,素晴らしき出会いを通じて院外からもたくさんのことを学ぶことができました(詳細はレジデントノート2012年2月号に記載).今後は感染症専門医,リウマチ専門医の資格をもった総合診療部の医師として成長できるよう励んでいきたいと思っています.
医学を極めんとする泥臭い,血のにじむような努力と,医学に捉われない幅広い視野とのバランスが大事だと思っています.
※見学・研修に関する問い合わせ先
2012年4月号掲載
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