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このコーナーでは,本誌コーナー「ただいま後期研修中!」の一部をお読みいただけます.内容は掲載時のものです.

がん手術の虎の穴で
国立がんセンター中央病院 肝胆膵外科 チーフレジデント 伴 大輔

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1.なぜこの病院を選んだのか

研修風景

↑指導医(島田和明先生)とシカゴで行われたDigestive Disease Week 2009で学会発表

外科初期研修ではとにかく手術をすることに夢中で,ただ手術を完遂することで自分が一歩一歩「できる」ようになっている気がしていた.しかし,一般外科手術を一通りこなせるようになってきたかな…と思ったころから,癌治療に関してさまざまな疑問をもつようになった.手術適応は? リンパ節廓清とは? 化学療法はこれでいいのか? そんなとき,当院が外科レジデントを公募しているのを見て,日本屈指のhigh volume centerに飛び込んでみようかと思った.

2.研修内容

主に外科について.レジデントは3年間で内視鏡・病理などの関連科と食道・胃・大腸・肝胆膵・乳腺・肺外科の6外科を希望に応じて3~9カ月ローテーションする.手術件数(2008年 annual report)は,食道119,胃474,大腸378,肝胆膵258,乳腺456,肺487件/年.数がすべてでないことはもちろんだが,されど数は大事.high volume centerがhigh volumeである所以.毎日同じ手術をやっていると,より洗練され無駄がなく,より深く理解できて,安全な手術ができる.膵頭十二指腸切除,難しい肝切除など,市中病院では珍しい手術も日常茶飯事のこととして手術が行われていく.自分ができていると思っていた胃癌,大腸癌の手術もこれが癌手術という手術を見せられると,改めて自分の未熟さを痛感させられた.そして3年間のレジデント生活を経てほとんどの人が,めざすべき目標,癌手術に対するポリシーなど,おそらく外科医として一生の指針になるものを得ているのではないかと思う.

レジデント3年の後は,チーフレジデントとして2年間のより専門的なコースがあり,前半1年を希望の科で集中して臨床を行い,後半1年を本人が希望する研究(臨床でも基礎でも)を行う.学会発表や論文作成の機会も多く,本人のやる気次第でいくらでもできると思う.

もう1つのメリット.宿舎の場所がいい.銀座から徒歩5分,築地市場は目の前というのは隠れた特典.

3.初期研修医へのアドバイス~特に外科を志す人へ

自分が医師になって10年,その短い間でも医療環境が急激に変わっていることを痛感する.年々若い外科医の研修環境は厳しくなり,より専門化,高度化してハードルが高くなってきていると思う.これからはより目的意識をもって研修先を選んでいくことが大切になる.そのためには厳しい環境でも厭わず,同世代のライバルが多い施設で腕を磨いていくことが一番.頑張りましょう!

2009年11月号掲載

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執筆者プロフィール

伴 大輔(Daisuke Ban)
  • 国立がんセンター中央病院 肝胆膵外科 チーフレジデント.
  • 1999年東京医科歯科大学医学部卒業.同大学附属病院で初期研修を行った.
  • 2000年取手協同病院,日産玉川病院など勤務後,
  • 2004年同大学肝胆膵・総合外科に入局し,
  • 2005年国立がんセンター中央病院外科レジデント,
  • 2008年同院肝胆膵外科チーフレジデント

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