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このコーナーでは,本誌コーナー「ただいま後期研修中!」の一部をお読みいただけます.内容は掲載時のものです.

一人前の医師として地域を支えるなかでの成長
道東勤医協 釧路協立病院 内科 西岡利泰

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1.この病院を選んだ理由

研修風景

↑病棟スタッフとのカンファレンス風景.右から2番目が筆者.

「疾患」ではなく「人間」として患者さんを捉える医療をしたい,という思いが私にはあります.そのためには,内科の基礎知識や患者背景への理解・コミュニケーション技術等が欠かせません.初期研修では残念ながらこれらは十分身につかず,専門研修をしていれば身につくものでもないと思います.そこで,専門研修に入る前に地方の臨床現場に出て,一内科医として責任もって診療にあたるなかで,上記を身につけたいと考えました.

2.今の仕事内容

釧路地域は北海道のなかでも医療過疎の進んだ地域であり,1人の医師が果たす役割はとても大きいです.それは,たとえ3年目医師であっても同じです.私も,外来から急性期病棟,慢性期病棟,往診,透析,内視鏡,診療所助勤を担当しています.そのなかで,自分が患者さんにとっては唯一頼れる人間であり,責任をもって対応する必要があります.未熟な私はあれこれもがきながら対応するのですが,どの症例からも教えられることがあります.がん末期の患者さんの「家へ帰りたい」という希望を叶えられず家族への働きかけの重要性を教えられたり,がん告知のときに家族から「おやじはわからなくても聞き返さない人なのだから,あなたもプロならわかるように詳しく説明しろ」と言葉悪くもプロ意識を説かれたり,挙げ始めたらきりがありません.そして,これらが医師そして人間としての成長につながっていきます.そして,教訓が生かされ患者さんの笑顔が見られたときは,うれしいものですよ.

3.チーム医療

当院の長所は何と言ってもチーム医療です.看護師さんをはじめ医療スタッフ全体に,患者さんのために力を合わせて良い医療を行おうという,雰囲気があります.例えば,毎週のカンファレンスでは医師と看護師が意見を出し合って方針を決めます.先日は乳がん末期の患者さんの,息子の運動会を見に行きたい,という願いを叶えられました.

4.初期研修医へのアドバイス

医師として求められるものは,決して技術だけではなく,人間性の部分も大きいです.その人間性を磨く場所として,地域の病院(特に医療過疎が激しい北海道)は最適です.実践力が身につくだけではなく,患者さんから,スタッフから多くのことを教えられ多くのことに気づかされます.将来的にどのような道に進むにしても,一度北海道の地方病院で働いてみませんか.

2010年1月号掲載

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執筆者プロフィール

西岡利泰(Toshiyasu Nishioka)
  • 道東勤医協 釧路協立病院 内科
  • 北海道大学医学部卒業後,札幌の勤医協中央病院で初期研修を修了.将来的には産婦人科医を目指している.仕事のかたわら道東の自然を満喫中.病棟の頼りになる指導医に対しては,趣味の山では逆に指導する立場.

*無断での転載を禁止します

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羊土社会員
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