このコーナーでは,本誌コーナー「ただいま後期研修中!」の一部をお読みいただけます.内容は掲載時のものです.
↑後期研修医3人で,左から武居先生,筆者,西尾先生.
千船病院は大阪市の端,川を渡れば尼崎といった「これぞ関西!」的なこてこての場所にあります.年間1,400件近い分娩を取り扱い,NICU(neonatal intensive care unit:新生児特定集中治療室)を併設し多数の母体搬送を受け入れています.救急も24時間体制で積極的に取り扱っており,(大阪市内の産婦人科系の救急車の45%は当院に来ているそうです!)さらに鏡視下手術を含めた婦人科の手術も多数行っています.
後期研修は産科と婦人科がバランスよく勉強できる病院でと考えていたので,この症例の豊富さ,幅広さに惹かれて当院での研修を決めました.
当院の研修の一番のポイントは,十分な症例を経験できることです.疾患を問わず自分の患者さんは自分で責任をもって診療し,説明し,手術では執刀もするので実戦経験は十分につめます.場数をつんで度胸をつけるといった面ではこれ以上の研修はありません.婦人科領域も従来の開腹術に加え,腹腔鏡手術も卵巣から子宮へと適応を広げています.
産婦人科医は常勤9人(うち後期研修医3人),みんな本当に仲がよくて和気藹藹とした雰囲気で働きやすいです.冗談でお腹が痛くなるくらい笑うこともしばしば.週1回のカンファレンスなどいろいろ症例呈示の機会がありますが,大抵それ以前に注目の症例については皆が口コミで知っています.
指導体制としてはオーベンがいますが,基本は自分で方針決定し,悩んだときに相談します.さらにその時々の状況で臨機応変にオーベン以外の先生ともペアになったりします.
当直帯は完全当直医制で,オンオフがはっきりしているというのも,家庭のある女医にとっては大きな魅力です.
産婦人科,楽しいですよ.千船に来て,毎日が忙しいけど充実していて,勉強したいことも山積みで,「日曜日なんて2週間に1回でいい」と思いながら働いています.
平和なお産の瞬間は何回見てもウルッときてしまうくらい感動的ないいものだし,近年女医が多くなってきたことを受け,多くの病院で保育所(当院にもあります)を併設したり,産休後の復帰がしやすい制度を作ったりなど,体制が整いつつあります.少しでも興味のある方はぜひ積極的に産婦人科を考えてみてください.考えているけど続けられそうもない,と思ってらっしゃる方は諦めたらもったいない! 諦める前にぜひ見に来てください.疲弊した産婦人科医をイメージしている方はきっと価値観変わると思いますよ.誌面に納まらなかったこと,いろいろお話します.
2009年9月号掲載
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