このコーナーでは,本誌コーナー「ただいま後期研修中!」の一部をお読みいただけます.内容は掲載時のものです.
↑ある当直明けの集合写真.真ん中でチェロキーを着ているのが自分です.
大学卒業後多くの症例経験を積みたいと思い,茨城県で唯一の1,000床規模で救急搬送数が年間9,000台と多い土浦協同病院で初期研修をしていました.そこで見た現場とは…こんなに患者はいるのか!?というぐらい,苦しんでいる患者で混んでいる救急外来でした.診ても診てもカルテがたまっていく…でもふとこうも思いました『周辺の病院に診てもらえず助けを求めてる患者がこんなにいる,自分がやらなきゃ誰がやるんだ!!』と.
入院患者の大多数は救急外来からの入院です.救急外来での対応が後手に回り状況悪化してしまったときもあり,この症例PCPS(percutaneous cardiopulmonary support:経皮的心肺補助)すぐ導入できたら助かったのに…と悔しい思いもして,救急専門の重要性を認識しながら日々研修していました(今同じ思いの人もいるはず!?).そして,まず生涯医師として働くには救急ができるようにならなければと,救急を目指すようになっていきました.
初期研修中に『自分がやらなきゃ! どんな病気の初期対応もできるようになりたい! 飛行機内や電車内で医師要請があったときにも対応できるようになりたい!』と思い,ACLS・JATECTMやERアップデートという研修医御法度の寺澤秀一先生や林寛之先生主催の講習会にも参加していました.
八戸でのJATECTMのとき,ERアップデートで呑み明かした箕輪教授と再会し,救急の後期研修を相談した際「うちにこないか?」という誘いをいただきました.地方では人がいなくてERも3次救急もICUもやらなければならないのが現実です.バリバリ3次救急・多発外傷のみというところよりは,オールマイティーのERも3次救急もICUもやりたかった自分にとって,救急入門には適しているのではないかと思いました.また見学に行ったときの平泰彦教授はじめとする医局員の人柄の良さ,シフト制を導入しておりonミoffがはっきりしている,休日はACLSなどの教育にも参加できる,医局内での救急・ER・ICUの教育もしっかりしている,そして何より平教授・箕輪教授のおっしゃる『救急は医の原点である』という言葉に「その通り!」と感銘を受けたため聖マリアンナ医科大学救急医学にお世話になることを決めました.
カリキュラムは4年間日本救急医学会ER検討特別委員会推奨に準拠し,集中治療専門医取得もできる研修システムになっております.昨年からピッツバーグで米国内科学会専門医・集中治療学専門医・感染症学専門医を取得したベストレジデントであった先生(今月号の特集で執筆されている藤谷茂樹先生です)やNSTで有名な先生・救急放射線科医がいらしたりと,教育・研究体制が充実しております.またACLSやITLSなどの標準化教育にも参加できます.ぜひHP(http://mariannaeccm.jp/)をご参照ください.さらに,いろいろな学会へ積極的に参加できます.現在も発展途上の医局であり,若い力・若い意見が医局をよりよいものに変えていけます!
実は現在,小児救急集中治療の勉強のため国立成育医療センターに1年間出張しております.聖マリアンナ医科大学では救急・集中治療は主に成人対象であるため,小児を集中的に勉強するためにこちらでお世話になっております.
PALSに則った小児救急医療を実施することができ,全国から来ているやる気のみなぎっている小児科医と交流を深めることができるのも非常にメリットになります.これからERをやっていくには救急外来受診の半分が小児であるので,小児救急もできるようにならなければいけません.
このように1年間,小児の有名専門病院である国立成育医療センターで小児救急・集中治療を勉強することができたりするのも聖マリアンナ医科大学救急医学の特色の1つです.
↑国立成育医療センターの救急外来でMOCK(シュミレーション教育)中.
今皆さん上級医がいるなかで当直していることでしょう.しかし,3年目以降は1人立ちです(独りで当直することがどれだけストレスなものか…).
半年でも1年でもかまいません,他科に属していても全くかまいません,救急・ER・集中治療を今一度しっかりと勉強しませんか? “読んだことがあるだけ”と“見たこと・やったことがある”は明らかに違います! ぜひ見学にいらしてください.たらい回しなどの救急医療の崩壊も叫ばれていますが,日本の救急は自分の手で変えてみせます! 若い皆様のやる気をお待ちしております.やる気さえあればいつでも大歓迎です! 病院から1人でも多くの患者が笑顔で帰っていただけるように…
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