このコーナーでは,本誌コーナー「ただいま後期研修中!」の一部をお読みいただけます.内容は掲載時のものです.
↑同期の美人女医3人と(内2人は独身!)
長崎大学医学部を卒業後,研修は市中病院でcommon diseaseを学びたいと思い,市内の中規模病院(長崎市民病院)で行いました.内科,外科,麻酔科,産婦人科,小児科等を研修するなかで将来どこの科を選択するか? 母校に戻って医局に入局した方がいいのか? と日々迷っていました.そんな折,(研修医2年目に)長崎県の離島医療で2カ月間研修する機会がありました.赴任した離島の病院は50床で内科と外科の常勤医師3人しかいないような病院でした.外来では外科の先生が,“膝が痛い,腰が痛い,手がしびれる,足がしびれる”などを主訴としたたくさんの高齢の患者さんを診察していました(今考えると変形性膝関節症や,頸髄症,腰部脊柱管狭窄症だったのでしょう).このような長崎県の離島地域は高齢化が本土に比べるとかなり進んでいて,日本の10年先の人口動態を反映しているといわれています.超高齢化社会での整形外科のニーズや重要性をこの研修を通して実感し,2カ月の研修期間を終えるころには,市民病院での整形外科での研修を希望するようになりました.
実際にローテートしてみると市民病院での整形外科研修は高齢者の骨折の嵐でした.外来にずらりと並ぶ患者さんをばたばたと診察し,お昼を食べる間もなく午後は手術.そして救急車.夜は飲み会(主にワイン!).超多忙でしたが,120%充実した時間を整形外科で過ごすことができたので,迷わず長崎大学の整形外科入局を決めました.
長崎大学では“Change”をテーマに教育体制の充実を図り,昨年の10月より病院全体の後期研修をサポートするチーム:医師育成キャリア支援室が立ち上がりました.5名の医師と3名の事務員が,いろんなお世話をしてくれます(お金と恋愛以外? は何でも相談にのってくれるそうです).専門医資格を取るための教育的なサポートや経済的なサポートを病院全体でやってくれて,とてもありがたいと思います.整形外科の先輩の宮本俊之先生もサポートチームの一員で,いろんな相談にのってくれます.8つの連携大学があり,長崎大学以外の大学でも研修が可能というところも魅力的です.
(http://www.mh.nagasaki-u.ac.jp/career/event.html)
長崎大学病院の後期研修医としてはや1年が経ちましたが,市中病院とは違い,大学には稀有な症例や高度な全身管理を必要とする患者さんが多く入院します.整形外科は診療分野が広く,四肢,脊椎,骨盤,股関節,骨軟部腫瘍,関節リウマチ,脳性麻痺,骨粗鬆症など多岐にわたります.大学は各分野の専門の指導医がおり,整形外科全般の最先端の治療に触れることができます.
若き坂本竜馬も住んでいた長崎は元々天領であるせいか,来るものは拒まず,また平等に接するのが長崎人の心意気のようです.例年入局者の半分は他大学出身であり,長崎大学出身者に限らず他大学出身でも平等に教育,育成することが大学病院のモットーとなっています.また,整形外科は,国体に出場する体育会系な人から,運動音痴な女医までいろんな人が楽しく学べる優しい教室です.西洋医学伝来の地,長崎で地域に密着した医療と最先端の医療を一緒に行いませんか!?
2009年5月号掲載
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