ハーバードでも通用した 研究者のための英語コミュニケーション

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本連載が大幅加筆して単行本『ハーバードでも通用した 研究者の英語術』になりました!

本連載の主旨・概要は「はじめに~ひとりで学ぶ英語の心得」をご覧下さい

第7回(最終回) 英文メールの書き方④
~読みやすいメールを書く3つのテクニック

前回述べたように、伝わるメールを書くための最も大事な点は、メインポイントを最初にもってくることです。それに加えて、受け取り手が読みやすい、理解しやすいメールを書くためのメールのスタイルで注意すべきことは以下の3点です。

  1. 短い文章を書く
  2. 短いパラグラフを書く
  3. リストを使う

短い文章を書く

長い文章は読みにくいものです。メールの場合はモニター上で読まれることが多いのですが、長い文章はモニター上ではさらに読みにくくなります。また長く複雑な構造を持つ文章はそれだけ文法的な問題を抱える可能性が大きくなりますし、たとえ理論上は正しくともネイティブは滅多に使わないような奇妙な表現になってしまうことがしばしばあります。

どれだけ長いと長すぎるのかということに関しては、確立されたルールはありません。一般には2行以内または20語以内の文章が読みやすいとされ目安になります。もしあなたの文章が3行以上にわたったり、30語以上を含むようであれば、短くする努力が必要です。

また短い文章を書くための原則は1つのセンテンスで1つのことだけを言うことです。別のこと(第2の話題)を言うときには必ず新しい文章を始めるのです。厳密にこの原則に従った場合には、各センテンスのつながりがなくなり、“choppy”と呼ばれる細切れで読みにくいパラグラフになることがたまにありますが、メールというコミュニケーションにおいては、長すぎる意味のとれないセンテンスを書くよりは、若干“choppy”であったほうが安全であると筆者は考えます。

【長いセンテンス:例1】

Dear Dr. Miller,

It was a pleasure meeting you at the Immunology conference in Boston and I greatly enjoyed your presentation, which coincides very much with my own line of research, particularly the work I have focused on during the last 3 years and which I hope to building upon during my 6-month stay at your lab, though perhaps I should first summarize my experience thus far(63語).

【長いセンテンス:例1、推敲例】

Dear Dr. Miller,

It was a pleasure meeting you at the Immunology conference in Boston(12語). I greatly enjoyed your presentation, which coincides very much with my own line of research, particularly the work I have focused on during the last 3 years(27語). I hope to build upon this during my 6-month stay at your lab, though perhaps I should first summarize my experience thus far(23語).

【長いセンテンス:例2】

I have worked in understanding how signaling through toll-like receptors results in the activation of macrophages and induction of gene expression by using bone marrow-derived murine macrophages and toll-like receptor ligands, in which I could examine gene expression profiles using total RNA and microarray technology, identifying several important signaling pathways in macrophages in response to dsRNA and lipopolysaccharide(58語)

【長いセンテンス:例2、推敲例】

I have studied how signaling via toll-like receptors results in the activation of macrophages and the induction of gene expression (20語). By using bone marrow-derived murine macrophages and toll-like receptor ligands, I examined gene expression profiles using total RNA and microarray technology(21語). This allowed me to identify several important signaling pathways in macrophages in response to dsRNA and lipopolysaccharide(17語)

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プロフィール

島岡先生 写真
島岡 要(Motomu Shimaoka)
大阪大学卒業後10年余り麻酔・集中治療部医師として敗血症の治療に従事.Harvard大学への留学を期に,非常に迷った末に臨床医より基礎研究者に転身.Mid-life Crisisと厄年の影響をうけて,Harvard Extension Schoolで研究者のキャリアパスについて学ぶ.現在はPIとしてNIHよりグラントを得て独立したラボを運営する.専門は細胞接着と炎症.
ブログ:「ハーバード大学医学部留学・独立日記」A Roadmap to Professional Scientist
過去の連載:プロフェッショナル根性論 online supplement material

Photo: Liza Green (Harvard Focus)

ジョー先生 写真
ジョー・ムーア(Joseph Moore)
1999年から2004年までハーバード大学医学部のフォンアンドリアン教授のオフィスマネージャーとして,グラントの編集とポスドクと学生のための論文や申請書の作成と編集に関わる.
現在,フリーのライター兼エディターとして,International Piano and Classic Record Review等にクラシック音楽に関する記事の執筆,サイエンスの分野ではグラント申請,論文作成,プレゼンテーションの英文校正や編集を行っている.
ウェブサイト:http://www.bandoneoneditingservices.com/

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