ハーバードでも通用した 研究者のための英語コミュニケーション

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本連載が大幅加筆して単行本『ハーバードでも通用した 研究者の英語術』になりました!

本連載の主旨・概要は「はじめに~ひとりで学ぶ英語の心得」をご覧下さい

第3回 アブストラクトの書き方③
~【実践編】優れたアブストラクトへの道のり

まとめ

優れたアブストラクトを“簡単”に書く秘訣はありません.しかし,優れたアブストラクトを書くための正しい努力の秘訣は存在します.このチャプターで解説した正しい努力の秘訣とは,

  1. ここ示したフレーム・ワーク思考の7つの項目に関する納得解を書き出し(頭で思うだけでは不十分です.必ず書いてください),ビルディング・ブロックとなる情報を洗い出す.
  2. ビルディング・ブロックをシグナルを使って,論理的につないでいき第1ドラフトを仕上げる.第1ドラフトは荒削りでよいので,過不足があってもよし.「最初の生みの苦しみ」を乗り越え,とにかく書き上げるのが大切です.
  3. 少し時間をおく(1時間から半日).客観的な視点でセルフ・エディティングすることは容易ではないが,少し時間をおくことによって,少しは客観視できるようになるはず.
  4. セルフ・エディティングすることは「第2の生みの苦しみ」を伴いますが,最低10回を心がけてください.無駄を削ぎ落とす.表現をより直接的なものする.短い文章を心がける.
  5. 指導者,先輩,共同研究者に見てもらいフィードバックをもらいましょう.
  6. フィードバックを参考に,さらに最低10回セルフ・エディティングを行います.
  7. もし,正式に投稿する場合にはネイティブスピーカーにみてもらいましょう.

Recommended Reading(ジョーの推薦);

The Elements of Style by William Strunk and E.B. White ? published by Longman.

At just over 100 pages in length, this classic and concise reference guide to English usage, grammar, punctuation, and style is the perfect companion for anyone wishing to improve their written English.

Although it is not meant to be an all-encompassing discussion of writing in English, there is no finer single volume that so clearly distills the basics rules and concepts for those (native English speakers included) who wish to write well in English. It is a clear, compact, indispensable, and very affordable guide (@ $10 USD new).

(Please note: Neither Dr. Shimaoka or Mr. Moore have any affiliation with the authors or publishers of this book, nor do they benefit in any way from its sale; its recommendation is meant only as a helpful suggestion.)

次回は,研究者が身につけるべきeメールによるコミュニケーションを解説します.

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プロフィール

島岡先生 写真
島岡 要(Motomu Shimaoka)
大阪大学卒業後10年余り麻酔・集中治療部医師として敗血症の治療に従事.Harvard大学への留学を期に,非常に迷った末に臨床医より基礎研究者に転身.Mid-life Crisisと厄年の影響をうけて,Harvard Extension Schoolで研究者のキャリアパスについて学ぶ.現在はPIとしてNIHよりグラントを得て独立したラボを運営する.専門は細胞接着と炎症.
ブログ:「ハーバード大学医学部留学・独立日記」A Roadmap to Professional Scientist
過去の連載:プロフェッショナル根性論 online supplement material

Photo: Liza Green (Harvard Focus)

ジョー先生 写真
ジョー・ムーア(Joseph Moore)
1999年から2004年までハーバード大学医学部のフォンアンドリアン教授のオフィスマネージャーとして,グラントの編集とポスドクと学生のための論文や申請書の作成と編集に関わる.
現在,フリーのライター兼エディターとして,International Piano and Classic Record Review等にクラシック音楽に関する記事の執筆,サイエンスの分野ではグラント申請,論文作成,プレゼンテーションの英文校正や編集を行っている.
ウェブサイト:http://www.bandoneoneditingservices.com/

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