本コンテンツは,実験医学同名連載(2017年8月号〜)からの転載となります.バックナンバーのプレゼント応募は終了しておりますが,パズルのみお楽しみいただけるようになりました(本文の文章は掲載時のままになっております).
第96問のこたえ

先月の『tRNAを復元せよ』は楽しんでいただけましたか? tRNAの特徴的なループ構造をパズルにしてみました.ループに入れる塩基はそれぞれ7つずつ.ピースは,どちらのループにも入れることができるので,端の形状を手掛かりに入れていくか,縁に三角形のくぼみがある「Gm」「Cm」のピースを手掛かりに入れていくかのどちらかになります.例えば,下のループの右側はCm―A―(C)か,Gm―G―(C)のどちらかに,右のループの上側はGm―U―(A)かCm―C―(A)のどちらかになります.ある程度目星をつけた後は,いつものように試行錯誤ということになりますが,すべてのピースを入れると,解答図のような配置となります.最後に,アンチコドンにあたる箇所にある3つの塩基を左から読んだ「GUA」が答えとなります.
先月号の特集がRNA修飾異常と疾患ということで,とりわけたくさんの修飾が報告されており,研究の歴史も古いtRNAをパズルのモチーフにしました.tRNAの印象的な形や機能は個人的に惹かれるところがあり,今回パズルにできて嬉しく思っています.RNA修飾の分野では1957年にはシュードウリジンが発見されており,tRNAのメチル化修飾については,僕が学生時代に読んだ教科書にも載っていた,古くから研究が続けられている分野かと思います.時代を進むと,分析技術の発展とともに種類も増え,現在ではさまざまな生物種において,150種類以上のRNA修飾が見つかっているとのこと.さらに近年では,修飾の対象となるRNAも,tRNAやrRNA,snRNAからmRNAやncRNAなどにまで広がり,新規のRNA修飾が報告され続けているとのことです.種類が多いだけに,RNAの安定性,翻訳効率,発現制御などをはじめとするさまざまな生命現象に寄与している可能性が議論されているようです.その幅広さからみると,まだまだ未知の事象が隠れているような分野に思われ,今後の研究が楽しみな分野でもあります.
今月はここまで,来月のパズルもお楽しみに!





















